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記者オーハタが訊く!【アトラス編最終回】

「デビプレ」専属記者、オーハタです!

今回は長きにわたってお送りした『デビルサバイバー2』インタビューのアトラススタッフ編、いよいよ最終回となりました。

すでにゲームをクリアされた方も、遊んだ後に改めて読んでいただくと「なるほど」と気づかれる点もあるかと思います。どうぞゆっくりお読みください!


PROFILE

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高田慎二郎
『デビルサバイバー2』ディレクター
2月27日生まれ。福岡出身。
代表作「グローランサー」シリーズや「女神異聞録デビルサバイバー」など、シミュレーションRPGを中心に数多く手がける。


0722_02

古東晃子
『デビルサバイバー2』アートディレクター
10月19日生まれ。北海道出身。
「真・女神転生III -NOCTURNE-」ではバトル演出とエフェクトを担当し、前作「女神異聞録デビルサバイバー」より引き続きアートディレクションを担当。


オーハタ
前回までのお話で、舞台のマップを中心にお話を伺ってきましたが、今回はキャラクターユニットのドット絵について、お聞きしたいと思います。こちらもかなりこだわって描かれてますね!

古東
そうですね。じつは前作はもともと、 SLGパート上でキャラを動かしドラマを見せる、ということは意識していなかったんですけど、今回はかなり・・・。

高田
かなり動かしてますね!

古東
はい。前作でもそういったシーンの評価が良かったので、今回はぜんぶ作るぞと。時間をかけて、全編にわたって細かくこだわってキャラクターを動かしてます。

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0826_02

オーハタ
たしかに、DSでよくぞここまで!っていうくらい、細やかに動いてますね。まさに職人芸というか。

古東
「小さい絵を動かす」というのは、絵がうまければある程度できるんですけど、 DSの解像度であのキャラを動かすというのは絵じゃなくてもう「点を動かす」技術なんですね。

オーハタ
点、ですか。ゲームでは絵に見えますけど、制作過程ではたしかに点なんですよね。

古東
はい、そしていまやドット絵はゲーム業界的にもロストテクノロジーに近い技術なので(笑)。『デビサバ』の大きさだと、絵なのか点なのかギリギリのところだと思うんですけど、これ以上大きくなってしまうともうアニメと同じになってしまいますから。

オーハタ
本当に細かいですよね・・・。戦闘に入る前にケータイを開く動作とか、ケータイを踏みつぶして壊す動作とか。

0826_03

古東
カシャ!とかガチャンとか、格好いいですよね。ああいったもの含めて、マップのギミックやエフェクトなども、たしかに最初に絵コンテにたくさん書いたんですけど、こんなにはできないだろうから、それぞれの判断で場面に沿ったものを作ってくださいってお願いしたんです。そうしたら、見事に全部あがってきたという…(笑)。

オーハタ
それはきっと、みなさんの職人魂を古東さんがうまく刺激されてるんでしょう。

古東
いやいや。スタッフが達者なので、本当にやりたい放題やってもらって。うまくできてよかったです。本当に大変だったんですけど、その分そういったところにも注目して遊んでいただけると、嬉しいですね。

シナリオのボリュームと整合性

オーハタ
『2』でこだわられた点、大変だった点などいろいろお聞きしてきましたが、いちばん苦労されたところは何ですか?

高田
やっぱり、シナリオのボリュームですね。とにかく多いうえに、単純にお話の整合性がとれればいいという話でもなくて。

オーハタ
それは具体的にはどんな風に・・・?

高田
たとえば、とあるイベントでダイチがすごく落ち込んでいたのに、 30分後にダイチがでてきたとき「やっほー」ってなったら当然おかしいじゃないですか(笑)。そういったキャラクターの感情の整合性をとるのに、かなり時間をかけて対応しました。

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0826_05

オーハタ
それは・・・『デビサバ2』のボリュームと登場人物の数を想像するに、相当いろんな組み合わせがありそうです。ちょっと、気が遠くなります・・・。

高田
そう、だからまずはその「おかしいところ」をみつけるのがたいへんですよね。それでみつけたら直さなきゃいけないけど、さぁどう直す? みたいな感じで、もうずっと。

古東
あぁ、やっぱり! 私もまったく一緒でした。自分は「どう直すか」が中心だったので、その前の高田が大変だった部分とはちょっと違った抽象的なところではあるんですが。

オーハタ
ということは、お2人とも同じ部分でそれぞれ別に、苦労されてたわけですね。

古東
そうなりますね。私の場合はたとえば、その人のプレイによって好みのキャラに違いがあるわけじゃないですか。今このキャラが好きだからずっとこのキャラのイベントを追いかけていく、みたいに。そうなると、こちらの想定していた順番でイベントを見ない方が、それなりにたくさん出てくる。もちろん、そういう自由度の高さをもともと目指して作っているゲームではあるんですが、そこが相当難しくて・・・。

高田
さすがに無理だからこれは割り切ってしまおう、という判断もあったんですけどね。

古東
いやいや(笑)、そこは結局、高田さんが割り切らなかったんじゃないですか?最初に相当、議論しましたよね。

高田
最初に割り切ろうと言ったのは、たしかに私だったかも・・・。すみません(笑)。でもやっぱりどうしてもひっかかってしまったんですね。

古東
シミュレーションゲームというのは、自分が育てたキャラクターが良い感じに動くのがカタルシスとして重要だと思ってます。ただ『デビサバ』はRPGでもあるわけで、今こういう良い見せ場なのに、それに関係したこのキャラが戦闘に出ないのはありえないでしょ?っていうジレンマもあったりして。そこの違和感にどうバランスをとっていくか、というルールが、はじめ、作れなかったんですね。

オーハタ
どちらを取るか、というのは悩ましいですね。

古東
そういうわけで、みんなで何回もプレイしてひとつずつつぶしていくんですけど、直したらまた別のところに違和感がでてきて・・・みたいな作業の繰り返しでした。

高田
ぜんぶのパターンをやりつくしましたね。それはもう単純に力技で。でも、やればいつかは終わるものだったのが救いでした(笑)。

古東
通ってきたイベントによって、キャラの印象が変わりますから、このときこのキャラはどんな顔をしてるのかってみんなで話し合って。でも食い違いも結構多かったので大変でした。

高田
最終的な雰囲気は古東が全部見たんですけど場合によってはモーションを付け足したり、場合によってはシナリオ側でセリフを変えたりととにかく時間との戦いでしたね。

「3」の可能性は・・・!?

オーハタ
さて、ここまでたっぷりお話を聞かせて頂いてありがとうございました。最後にこれをやっぱり聞きたいんですが・・・。『3』が出る可能性はありますか!?

高田
やはりそれは聞かれますよね。実際はまだ何も決まっていないんですが。

オーハタ
でも東京、日本全国ときたらやっぱり次は世界を舞台に・・・とか妄想しちゃいます。

古東
高田や会社には「世界遺産に取材に行きたい」、とは言っています(笑)。ヨーロッパとか・・・。

高田
うーん。ヨーロッパが入ってたら、ユーザーさんが「買う!」って言うなら考えるけど・・・。

古東
リアルなダメだしありがとうございます(笑)。

オーハタ
それでは、最後の質問です。これまで他の方にも聞いているんですが、セプテントリオンが現実に現れたらどうしますか?

高田
開発中だったら、とにかく目の前の仕事をひとつずつ片付けないと仕方がないので、いつもどおりやってると思います。

古東
そうですね。もしセプテントリオンが途中で来なくなったときのことを考えると先々困るんで、しっかり仕事をしてると思います。最後まで7体ぜんぶ来ることが決まってるならちょっとまた考えなきゃいけないんですけど。

高田
そうですね。わからなかったら、やるしかない(笑)!

オーハタ
お2人らしいお答え、ありがとうございました!


というわけで長きにわたってお届けしてきましたクリエイターリレーインタビュー。

デビルサバイバー2でのお話は、本日のインタビューにて一区切り。なんと、来週9月1日には「デビルサバイバー オーバークロック」が発売を控えています!

というわけで、まだまだクリエイターインタビューは続きますっ。引き続きお楽しみに!

記者オーハタが訊く!【アトラス編最終回】

「デビプレ」専属記者、オーハタです!

今回は長きにわたってお送りした『デビルサバイバー2』インタビューのアトラススタッフ編、いよいよ最終回となりました。

すでにゲームをクリアされた方も、遊んだ後に改めて読んでいただくと「なるほど」と気づかれる点もあるかと思います。どうぞゆっくりお読みください!


PROFILE

0722_01

高田慎二郎
『デビルサバイバー2』ディレクター
2月27日生まれ。福岡出身。
代表作「グローランサー」シリーズや「女神異聞録デビルサバイバー」など、シミュレーションRPGを中心に数多く手がける。


0722_02

古東晃子
『デビルサバイバー2』アートディレクター
10月19日生まれ。北海道出身。
「真・女神転生III -NOCTURNE-」ではバトル演出とエフェクトを担当し、前作「女神異聞録デビルサバイバー」より引き続きアートディレクションを担当。


オーハタ
前回までのお話で、舞台のマップを中心にお話を伺ってきましたが、今回はキャラクターユニットのドット絵について、お聞きしたいと思います。こちらもかなりこだわって描かれてますね!

古東
そうですね。じつは前作はもともと、 SLGパート上でキャラを動かしドラマを見せる、ということは意識していなかったんですけど、今回はかなり・・・。

高田
かなり動かしてますね!

古東
はい。前作でもそういったシーンの評価が良かったので、今回はぜんぶ作るぞと。時間をかけて、全編にわたって細かくこだわってキャラクターを動かしてます。

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0826_02

オーハタ
たしかに、DSでよくぞここまで!っていうくらい、細やかに動いてますね。まさに職人芸というか。

古東
「小さい絵を動かす」というのは、絵がうまければある程度できるんですけど、 DSの解像度であのキャラを動かすというのは絵じゃなくてもう「点を動かす」技術なんですね。

オーハタ
点、ですか。ゲームでは絵に見えますけど、制作過程ではたしかに点なんですよね。

古東
はい、そしていまやドット絵はゲーム業界的にもロストテクノロジーに近い技術なので(笑)。『デビサバ』の大きさだと、絵なのか点なのかギリギリのところだと思うんですけど、これ以上大きくなってしまうともうアニメと同じになってしまいますから。

オーハタ
本当に細かいですよね・・・。戦闘に入る前にケータイを開く動作とか、ケータイを踏みつぶして壊す動作とか。

0826_03

古東
カシャ!とかガチャンとか、格好いいですよね。ああいったもの含めて、マップのギミックやエフェクトなども、たしかに最初に絵コンテにたくさん書いたんですけど、こんなにはできないだろうから、それぞれの判断で場面に沿ったものを作ってくださいってお願いしたんです。そうしたら、見事に全部あがってきたという…(笑)。

オーハタ
それはきっと、みなさんの職人魂を古東さんがうまく刺激されてるんでしょう。

古東
いやいや。スタッフが達者なので、本当にやりたい放題やってもらって。うまくできてよかったです。本当に大変だったんですけど、その分そういったところにも注目して遊んでいただけると、嬉しいですね。

シナリオのボリュームと整合性

オーハタ
『2』でこだわられた点、大変だった点などいろいろお聞きしてきましたが、いちばん苦労されたところは何ですか?

高田
やっぱり、シナリオのボリュームですね。とにかく多いうえに、単純にお話の整合性がとれればいいという話でもなくて。

オーハタ
それは具体的にはどんな風に・・・?

高田
たとえば、とあるイベントでダイチがすごく落ち込んでいたのに、 30分後にダイチがでてきたとき「やっほー」ってなったら当然おかしいじゃないですか(笑)。そういったキャラクターの感情の整合性をとるのに、かなり時間をかけて対応しました。

0826_06
0826_05

オーハタ
それは・・・『デビサバ2』のボリュームと登場人物の数を想像するに、相当いろんな組み合わせがありそうです。ちょっと、気が遠くなります・・・。

高田
そう、だからまずはその「おかしいところ」をみつけるのがたいへんですよね。それでみつけたら直さなきゃいけないけど、さぁどう直す? みたいな感じで、もうずっと。

古東
あぁ、やっぱり! 私もまったく一緒でした。自分は「どう直すか」が中心だったので、その前の高田が大変だった部分とはちょっと違った抽象的なところではあるんですが。

オーハタ
ということは、お2人とも同じ部分でそれぞれ別に、苦労されてたわけですね。

古東
そうなりますね。私の場合はたとえば、その人のプレイによって好みのキャラに違いがあるわけじゃないですか。今このキャラが好きだからずっとこのキャラのイベントを追いかけていく、みたいに。そうなると、こちらの想定していた順番でイベントを見ない方が、それなりにたくさん出てくる。もちろん、そういう自由度の高さをもともと目指して作っているゲームではあるんですが、そこが相当難しくて・・・。

高田
さすがに無理だからこれは割り切ってしまおう、という判断もあったんですけどね。

古東
いやいや(笑)、そこは結局、高田さんが割り切らなかったんじゃないですか?最初に相当、議論しましたよね。

高田
最初に割り切ろうと言ったのは、たしかに私だったかも・・・。すみません(笑)。でもやっぱりどうしてもひっかかってしまったんですね。

古東
シミュレーションゲームというのは、自分が育てたキャラクターが良い感じに動くのがカタルシスとして重要だと思ってます。ただ『デビサバ』はRPGでもあるわけで、今こういう良い見せ場なのに、それに関係したこのキャラが戦闘に出ないのはありえないでしょ?っていうジレンマもあったりして。そこの違和感にどうバランスをとっていくか、というルールが、はじめ、作れなかったんですね。

オーハタ
どちらを取るか、というのは悩ましいですね。

古東
そういうわけで、みんなで何回もプレイしてひとつずつつぶしていくんですけど、直したらまた別のところに違和感がでてきて・・・みたいな作業の繰り返しでした。

高田
ぜんぶのパターンをやりつくしましたね。それはもう単純に力技で。でも、やればいつかは終わるものだったのが救いでした(笑)。

古東
通ってきたイベントによって、キャラの印象が変わりますから、このときこのキャラはどんな顔をしてるのかってみんなで話し合って。でも食い違いも結構多かったので大変でした。

高田
最終的な雰囲気は古東が全部見たんですけど場合によってはモーションを付け足したり、場合によってはシナリオ側でセリフを変えたりととにかく時間との戦いでしたね。

「3」の可能性は・・・!?

オーハタ
さて、ここまでたっぷりお話を聞かせて頂いてありがとうございました。最後にこれをやっぱり聞きたいんですが・・・。『3』が出る可能性はありますか!?

高田
やはりそれは聞かれますよね。実際はまだ何も決まっていないんですが。

オーハタ
でも東京、日本全国ときたらやっぱり次は世界を舞台に・・・とか妄想しちゃいます。

古東
高田や会社には「世界遺産に取材に行きたい」、とは言っています(笑)。ヨーロッパとか・・・。

高田
うーん。ヨーロッパが入ってたら、ユーザーさんが「買う!」って言うなら考えるけど・・・。

古東
リアルなダメだしありがとうございます(笑)。

オーハタ
それでは、最後の質問です。これまで他の方にも聞いているんですが、セプテントリオンが現実に現れたらどうしますか?

高田
開発中だったら、とにかく目の前の仕事をひとつずつ片付けないと仕方がないので、いつもどおりやってると思います。

古東
そうですね。もしセプテントリオンが途中で来なくなったときのことを考えると先々困るんで、しっかり仕事をしてると思います。最後まで7体ぜんぶ来ることが決まってるならちょっとまた考えなきゃいけないんですけど。

高田
そうですね。わからなかったら、やるしかない(笑)!

オーハタ
お2人らしいお答え、ありがとうございました!


というわけで長きにわたってお届けしてきましたクリエイターリレーインタビュー。

デビルサバイバー2でのお話は、本日のインタビューにて一区切り。なんと、来週9月1日には「デビルサバイバー オーバークロック」が発売を控えています!

というわけで、まだまだクリエイターインタビューは続きますっ。引き続きお楽しみに!