記者オーハタが訊く!【鬼頭莫宏氏 vol.2】
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「デビプレ」専属記者のオーハタです!
今日は前回に引き続き、「デビルサバイバー2」でボスキャラクターデザインを担当した、鬼頭莫宏さんの独占インタビュー第2弾!
まだまだ謎の多い侵略者(!?)セプテントリオンの、知られざる誕生秘話をイラストとともにお届けしちゃいます!
PROFILE
鬼頭莫宏
1966年8月18日生まれ、愛知県出身。
漫画家、イラストレーターとして、代表作「なるたる」「ぼくらの」などを執筆。「エヴァンゲリオン新劇場版:破」では第3使徒をデザインするなど、活躍中のクリエイター。
『デビルサバイバー2』ではボスとなる侵略者セプテントリオンのデザインを手がける。
【第2回】足し算ではないデザイン
オーハタ
今回デザインした侵略者のなかで、コレ!というお気に入りはありますか?
鬼頭
そうですね…いちばん素直に描けた、こいつですかね。
<まだお見せできないセプテントリオンの内の1体。詳細は続報にご期待下さい!>
これをデザインと言っていいのか!?というのはありますけど、実際にあったらこの曲面のフォルム、とてもきれいだと思います。
オーハタ
みごとに余計なものがない、ですね…!前回のインタビューで、「足し算のデザインはしない」というお話を伺いましたが、このセプテントリオンはもうこれ以上ないくらい、行くところまで行っちゃってますよね(笑)。
鬼頭
本当はぜんぶ、このくらいのところまで行きたかった(笑)。あとはこいつとか・・・。
<水曜の侵略者 メグレズ>
この形と質感で、このカラフルなトゲトゲが飛び出してるのがバカバカしくて、いい感じに仕上がっていると思います。
オーハタ
一見かわいい感じなのに、ゾクっときます。子供の頃見たアゲハチョウの幼虫の角とか思い出します。
鬼頭
ああなるほど、たしかに。警戒色※みたいな感じです。
※他の生物に警戒心を起こさせ近寄せないようにする、奇抜な色彩や模様の体色のこと
オーハタ
デザインする際に、動きも想像して描かれるんですか?
鬼頭
動きもそうですけど、まずDSなのでわかりやすいように、あまり細かいパーツを付けないように、とは考えてました。最初に、どんな場所で、どんな攻撃方法で戦うのか聞いて、それを元に、どうすればいちばん格好良く怖く見えるか、意見を交換しながら、デザインが作られていった感じです。
オーハタ
2日目に出てくるこの侵略者はどうでしょう?
<月曜の侵略者 メラク>
鬼頭
こいつはもう少し厚みをなくしてペラペラの紙みたいにしたかったんですけど、ペタっとしてしまうとゲーム的に保たなくなってしまって。ここの丸い目玉みたいのが(以下割愛)
オーハタ
すみません、発売前で編集長から規制の合図が……っ。メラクの謎は、ゲーム中で実際にお確かめください!とにかく想像もつかないような動きでメラクの攻撃が放たれる、と。ひとたまりもなさそうな攻撃ですね。
鬼頭
ゲーム中、このボスは2Dのドット絵で表現されてるんですけど、 CGの方が再現するのは相当苦労された、と聞いています。
オーハタ
えっ!? これって一見3Dポリゴン風ですけど、ドット絵で描かれてるんですね?
鬼頭
まさに職人芸ですよね。かなりたいへんだったと思います。
オーハタ
たしかに・・・。ところで逆に、鬼頭さんが苦労された点はありますか?
鬼頭
そういう意味では、離れてのやりとりは難しかったですね。こちらからどこまで踏み込んで良いのか、迷うときがあったり。さっきのSLGのマップで表現されるシーンなどでの動きとか、あまり変わったことを言ってしまうとマップが破綻してしまうんじゃないか…という怖さがありました。
オーハタ
直接のやり取りでなかった為に、そういった難しさや葛藤が生じてしまった、と。
鬼頭
いちばんの理想は、一緒の現場で、思いつきレベルのことまでぽんぽん意見を出し合って作っていくのがいいとは思うんですが、自分の仕事もあって現場に来ることが難しいので、試行錯誤しながら進めていきましたね。
オーハタ
そうすると、お互い遠慮してしまう部分もあったのでは?
鬼頭
ただ、そこは遠慮して終わるわけではなくて、アトラスのスタッフの方がメールや電話を駆使してすごく気を遣って頂いて、仕事をしやすくして頂いたんですね。自分のメールは簡単に用件しか書いてないのに、その何倍も丁寧で、濃いお返事をいただいたりして。しかも24時間、限りなくリアルタイムに近いんです(笑)。
オーハタ
現場に一緒にいなくても、いろんな情報を共有することでチームとして一緒に仕事をしている感覚になりますよね。
鬼頭
そうなんです。何よりデザインに関する注釈以外に、現場の雰囲気を教えて頂いたのが、すごくありがたかったです。自分に対してこれだけのパワーを割いてくれてるということは、きっと他の方にも同じように気を配ってるということなので、それを想像すると本当にすごいな、と思いましたね。
「何でもあり」はなし
オーハタ
鬼頭さんがキャラクターを作る上で、大切にしていることは何ですか?
鬼頭
「何でもあり」なのはやめよう、とはいつも考えてますね。デザイン的にはこうしたらカッコよくなるんだけど、物語の設定上、その世界観のテクノロジーレベルとか、そういったものにそぐわないことはあまりしてません。
オーハタ
リアリティの線引きみたいなものですか?
鬼頭
そうですね、まぁでもあまりがんじがらめにしてもよくないので、原則として気をつける、という程度ではありますけど。
オーハタ
今回の『デビルサバイバー2』でも、やはりその点に気を遣ってデザインされたのでしょうか?
鬼頭
そうですね。前回のインタビューでも話したのですが、その上で、あまりデザインを”盛らない”ようにしました。
オーハタ
『デビサバ』のボスというと、金子一馬氏デザインの悪魔のイメージが強いですが、鬼頭さんから見てどうですか?
鬼頭
金子さんは、私が言うのも恐れ多い偉大な方なんですが、誰もが持っている伝承のイメージを生かしつつ、でもそこに何かミスマッチなガジェットやアレンジが巧みに施されていて、そこがとても上手いなぁと思って見ていました。
オーハタ
侵略者をデザインされるとき、金子さんのデザインを意識されたりも…?
鬼頭
そこは今回の依頼ではまず最初に、金子さんを意識せずやってほしいとお話を頂きましたので、こだわらずに、自由にやらせて頂きましたね。とくに今回の私の場合は生物感のないボスキャラクター、というのがありましたから、その差別化は意識しています。
オーハタ
ここまで色々なお話を聞かせて頂き、名残惜しいですがそろそろお時間のようです。『デビルサバイバー』のファンの皆様へ、ひとことお願いします。
鬼頭
今回自分の仕事はデザインですが、少しでもゲームの面白みの手助けになればと思います。たぶんゲーム史上に残るヘンチクリンなボスですけど、見かけによらず相当手強いので、心して戦ってやってください。
オーハタ
それでは、最後の質問です。もし鬼頭さんのところに侵略者が現れたらどうしますか?
鬼頭
その状況で行動を選んでいる余地はないと思いますが(笑)。たぶん僕はそういった場面では真っ先にやられちゃう人間なので、侵略者を見る時まで生き残っていられないでしょうね。 0616_06.jpg
鬼頭さん、ありがとうございました!
今回紹介した侵略者デザインは、『デビルサバイバー2』の公式サイトでも見ることができます。キーワード「セプテントリオン」でくわしく紹介しているので、ぜひそちらも見てくださいね。
それでは、また次回お会いしましょう!