記者オーハタが訊く!【ヤスダスズヒト氏 vol.1】
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みなさま、はじめまして!「デビプレ」専属記者2号のオーハタです。
5月12日に「デビルサバイバー2」公式サイトもグランドオープンとなりましたが、今日はとっておきのスクープを取ってきました!
なんと、『デビルサバイバー』シリーズのキャラクターデザインを手がけるヤスダスズヒトさんの直撃インタビューです!
第1回目となる今回は、デビサバとの出会いからはじまり、
これまでのお話を振りかえります。
PROFILE
ヤスダスズヒト
5月4日生まれ、三重県出身。
漫画家、イラストレーターとして、代表作『夜桜四重奏~ヨザクラカルテット~』をはじめ、『デュラララ!!』などのライトノベルの挿絵を中心に活躍。
DS『女神異聞録デビルサバイバー』でキャラデザインを担当し、最新作『デビルサバイバー2』でも引き続き携わる。
第1回『デビルサバイバー』との出会い
オーハタ
はじめまして、「デビサバエクスプレス」の記者、オーハタです。本日はよろしくおねがいします!
ヤスダ
こちらこそ、よろしくお願いします。
オーハタ
まずはヤスダさんと『デビサバ』の出会いからお聞きしたいのですが・・・。
最初お話が来たときはどうでしたか??
ヤスダ
あれはたしか、07年の春ごろだったと思うんですけど、最初はアトラスさんから「新作のSLGをやるので、お願いできますか?」って、連絡があったんです。
オーハタ
ゲームのお仕事は、そのときが初めてだったのでしょうか?
ヤスダ
そうですね。でもアトラスさんのゲームはユーザーとしてかなり遊んでましたし、ずっとゲームの仕事はやりたいと思っていたんですね。
そしたらいきなり、『女神転生』シリーズだったという・・・。
オーハタ
依頼を受けたとき、どんな風に感じましたか?
ヤスダ
うれしい反面、同時にボリュームをさばききれるかなという不安はありました。
ライトノベルの仕事なら本一冊分で15、6枚とかぐらいなんですけど、ゲームとなるとかなり量も多いんだろうな、と。
オーハタ
それで依頼を受けることになって・・・
ヤスダ
初めての打ち合わせの際、神楽坂(※1)にかなり迷って着いたのを覚えてます。
そのときにお会いしたのが、ディレクターの高田さんと、アートディレクターの古東さんでした。高田さんが想像よりもビジュアル系だったので、アトラスっぽいな~と感じたことが印象に残っています(笑)
オーハタ
高田さんは『グローランサー』シリーズにも携わってますよね。
ヤスダ
私もそれを知っていたので、相当がっつりしたシミュレーションになるんだろうなぁ、とは想像していました。さらに言えば、がっつりしたシステムと悪魔合体システムが、はたしてきれいに組み合わせられるのかな?とは思っていました。
企画書を見せて頂いたとき、「悪魔会話がない」と書いてあって、そこでまず大胆だな~、と感じたんです。
オーハタ
当時「女神転生」の新作としては大きな決断でしたよね。
ヤスダ
そうですね。でも最終的に「女神転生」らしさを残しつつ、削るところをがんがん削っていった、あのディレクションはすばらしいと思いました。
オーハタ
そのとき、依頼の説明はどのように受けたんですか?
ヤスダ
まず最初に、「女神転生」シリーズではあるけど、そこはあまり意識せずヤスダさんらしさを発揮してほしい、キャラの性格付け以外はほぼおまかせで・・・、といった内容でした。
オーハタ
当時「女神転生」というと、悪魔絵師・金子一馬さんのイメージが強かったですから、それもかなりのチャレンジですよね。
ヤスダ
そうですね。ただそこは私も、金子さんの悪魔に寄り添う感じにしてしまうと、かえってよくないという風に考えてましたから、じゃあ逆に徹底的にポップにしてしまおうと思って。
普段よりも彩度の高い色を使って描いていきました。
オーハタ
なるほど・・・。私はファッションには疎いんですが、ヤスダさんのキャラクターは、現実とフィクションの狭間に絶妙に位置してるのが独特な気がします。
ヤスダ
じつは私、キャラデザする時に「ファッション雑誌は一切見ない」っていう、ポリシーがあるんです。
オーハタ
なんと、そうなんですか!
ヤスダ
たとえばヒロインのユズはニーソックス履いてますよね。
今でこそ街中でみんなけっこう履いてますけど、当時ニーソックスを履いてるのは、ゴスロリファッションの方ぐらいでした。
オーハタ
言われてみれば、たしかに・・・。
ヤスダ
たぶんファッションの定番とか前提みたいなものを知らなくて、ちょっとズレた感じが、持ち味になってるじゃないでしょうか。
オーハタ
流行はご自身では意識していないんですね。
ヤスダ
そうですね。たとえば普通に街中を歩いているとき、かわいいなと思った格好は、メモらずぼんやり覚えるんです。メモらずに…、というのがポイントです。それを完全再現してしまうと、普通に商品として売っている服になっちゃうから。
オーハタ
なるほど・・・。そういえばヤスダさんのキャラにはヒモのような、「長いもの」がよく使われてますよね。
ヤスダ
はい(笑)。第1作でかなり勉強させてもらったんですけど、雑誌に載るイラストって、なかなか大きく載りにくいんです。そのサイズでいかに印象づけるかというとき、長いものがかなりの武器になるな、というのがわかって。
逆にただ大きいだけのものや細かく部品分けされたものは、ごちゃっとしちゃてあんまりよくないんですね。
オーハタ
確かに、そうかもしれません。
ヤスダ
どっちかというと、シルエットがギザギザになるほうが、密度が高まってよいんですね。おそらく雑誌のデザイナーさんを、配置で悩ませてしまっているとは思うんですけど(笑)
オーハタ
なるほど。あとイラストを並べて見て気がついたんですが、よく見ると同じキャラでも絵ごとにちょっと違うところがありますよね。
ヤスダ
私は、同じキャラでも絵を描くごとの再現性はさほどとらなくてもいい、という風に思っているんです。その絵を一番いい形にするために、デザインは構図やコンセプトにあわせてどんどんいじります。だから、見比べると絵ごとに、ちょこちょこ変わってることがよくあります。
オーハタ
そうなんですね・・・。ゲームのお仕事を初めて経験されて、たいへんだったことはありますか?
ヤスダ
やっぱりぜんぜん違うのは、ライトノベルの挿絵の場合は、最初に文章が完成してて、全部読んでから書き始めるんです。
それに慣れてるので、私は会話でキャラクターをイメージするんです。ただゲームの場合は、設定のみでまず絵を描く、というやり方だったので、それがちょっと難しかったですね。
オーハタ
ゲームの場合は、絵と同時に開発が進んでいくこともありますしね。
ヤスダ
そうですね。あとゲームのチーム作業は、本当に難しいんですね。私が居て、開発チームがいて、さらに販売戦略チームだとか、それぞれの立場では正しいんだけど、思惑が交錯して・・・みたいなことは、個人では経験できなかったことなので。でもそれも良い経験になりました。
オーハタ
逆に、楽しかったことはなんですか?
ヤスダ
描いてる間はずっと、楽しんで仕事できましたよ。
別の視点では、これは今だから言えるんですけど、最初第1作が発表されたとき、反発がとても強かったんです。
オーハタ
アトラスのタイトルでは、外部のイラストレーターさんを起用することは、珍しく、新しい試みでしたからね。
ヤスダ
ある意味それは予想通りではあったんですけど、そのことがきっかけで私の絵を知らない人たちが、いろんな感想を言ってくれたんですね。そういった普段と違う方の声というのは、自分に非常にためになりました。
オーハタ
第1作でアトラスのスタッフと仕事を一緒にして、どんな感想を持ちましたか?
ヤスダ
まさに職人集団、という感じでした。漫画やアニメなどのエンターテイメント分野の中で、いちばん職人色が強いのがゲーム業界なんじゃないのかなあ、と思いました。
これはいい悪いではないんですけど、ゲームを作るのはとにかく時間がかかる。マンガやイラストの場合1週間、1ヶ月単位でどんどんしめていくけど、ゲームだと2年、3年、かけるプロジェクトとかざらなんですよね。2年とか長く作り続けるのは、職人でないとできない。
それは非常に、強く感じました。
もちろん漫画やアニメ、イラストの制作現場にも職人的な面はいっぱいありますけど。
※1 当時のアトラス(現インデックスのCS局)は、神楽坂に開発のオフィスがありました。
(ヤスダさん、ありがとうございます! 第2回目では、ヤスダさんがプレイヤーとして見た「デビサバ」について伺います。次回もお楽しみに…!)