Pick Up Banner

記者オーハタが訊く!【アトラス編 vol.2】

こんにちは!「デビプレ」専属記者の、オーハタです!

<p発売から1週間が経ちました、「デビルサバイバー2」!みなさんお楽しみ頂けておりますでしょうか?

本日は、クリエイターインタビュー・アトラス編のvol.2として、引き続き制作スタッフを直撃! 今回は発売日直前に伺った「ゲームのリアリティ」について、第1作の制作当時のお話もまじえて深~く迫ります!


PROFILE

0722_01

高田慎二郎
『デビルサバイバー2』ディレクター
2月27日生まれ。福岡出身。
代表作「グローランサー」シリーズや「女神異聞録デビルサバイバー」など、シミュレーションRPGを中心に数多く手がける。


0722_02

古東晃子
『デビルサバイバー2』アートディレクター
10月19日生まれ。北海道出身。
「真・女神転生III -NOCTURNE-」ではバトル演出とエフェクトを担当し、前作「女神異聞録デビルサバイバー」より引き続きアートディレクションを担当。


オーハタ
前回は街のマップのリアリティについてお聞きしましたが、今回は物語におけるリアリティについて、お聞きしたいと思います。『デビサバ』はシナリオ上でのリアルなサバイバル描写も特徴のひとつですよね。

高田
はい。まあ、そもそも悪魔が出てくる時点で”ファンタジー”であることに違いありませんが、そこをいかに現実的に感じさせられるかは、前作でかなり悩みました。結果、自分がいちばん注意したのは、キャラクターのリアクションなんです。

オーハタ
リアクションというと、会話のときのキャラの反応の仕方ですか?

高田
そうです。キャラクターのリアクションにプレイヤーが違和感を感じないように、細かく気を配っています。

オーハタ
違和感というと、具体的には?

高田
たとえば悪魔やラプラスメールを初めて見たとき、ただ怖がるだけでは、明らかに変なんですよ。普通、いきなりそんなもの見て信じませんから(笑)。

オーハタ
たしかに…。

高田
最初の頃はそのことに気づかなくて、なんでこんなに白々しく感じるのかなって、だいぶ悩んだ記憶があります。でもキャラのリアクションに納得ができると、だんぜん現実感がわいてくるんですね。そこに気がついてから、ひたすらおかしいところをつぶしていって…。

オーハタ
そんな細かいところに理由があったんですね。

高田
プロットまで影響するものではないんですが、それぞれの場面のリアクションの修正をとにかくひたすら繰り返し、直していきました。

古東
たぶんその話につながると思うんですが、第1作の開発当初、社内の人間にテストプレイしてもらってどう感じるか、意見を聞いたことがありました。そうしたらまず「この世界のルールがわからない」って言われたんです。

オーハタ
ルール…、どういう意味なんでしょう?

古東
たとえば「友達が3メートルの高さの木から落ちた」ってことがあったら、現実に近い世界で起きたら一大事ですが、それがデフォルメされた世界観…勇者様がいるような場所で起こったことだったらそんなたいしたことじゃないですよね?

オーハタ
そうですね。世界の”当たり前”が違うというか。

古東
その通り、無意識に”暗黙のルール”があるんです。でも作り始めの頃の『デビサバ』の現実世界は、どこまでが普通で、どこからが驚くところなのかがわからなくて疲れる…、ということだったんです。たとえば、デビサバ1作目の時のお話なんですが、「新宿にどぎついオレンジの服を着た新興宗教の信者が現れた時、このゲームではそういったことは普通なのか?それとも驚くべきことなのか?それがわからないので、彼らのリアクションに説得力が無い」と指摘がありまして。

0804-1
<「女神異聞録デビルサバイバー」より>

オーハタ
確かに、現実の世界だったらとても驚くような鮮やかで特徴的な服装といいますか…。信者さん、ローブで顔も隠れ気味ですし。

古東
後日、設定資料集のインタビューの際にヤスダさんが「オレンジの教団服がありの世界なのか、確認するために敢えて外して描いた」と仰っていました。私は「この世界ではオレンジ服はアリ」と判断したので、ユズやアツロウたちはその点については、驚く等の反応は見せていません。

オーハタ
なるほど。現実世界を舞台にしながら、悪魔が跋扈するこのデビサバの世界で、どこまでが当たり前で、どこからが不自然なのかという線引きといいますか…難しいです。たしかにそれは、作っている側からは、なかなか気づきにくいポイントですね。

古東
そうなんです。それで、現実とファンタジーの境目をよりシビアにして、悪魔が出てくることは普通じゃないし驚くべきところだ、って捉えられるように、世界のルールを作っていったんです。

オーハタ
リアルさというのは見た目だけじゃない、ということですよね。そういう意味ではヤスダスズヒトさんのキャラもリアルというよりは、ポップな印象と言いますか、今っぽさを感じるデザインですね。

古東
ヤスダさんのポップな絵柄もあいまって、世界のルールが固定されるまでは、シナリオはかなり試行錯誤した記憶があります。

高田
第1作はリアクションを何度も書き直して…よしできた! ってふと気づいたら、それがものすごいボリュームになってた(笑)。でも、それだとお話のテンポが悪くなってしまうので、今度はいかにそのリアクションを残しつつ削っていくか、という作業に苦労しましたね。

オーハタ
キャラのリアクションとプレイヤーの気持ちをリンクさせることが、リアルさにつながっていたわけですね。

高田
そうですね。そういった前回の経験があったので『2』では最初から、かなり注意を払いました。それでも冒頭から街が壊滅状態になるので、導入はかなり大変でしたが。

オーハタ
リアルさ、という意味では今回の鬼頭莫宏さんがデザインした侵略者もこの世界の中では特異な存在ですね。

0804-2
<「デビルサバイバー2」よりセプテントリオン>

高田
悪魔でも人間でもない、第3の存在ですからね。怖くて不気味なボスだけど悪魔でない、という矛盾したところからスタートしました。

オーハタ
設定上はまったくのファンタジーなんですけど、不思議なリアリティを感じます。

古東
鬼頭さんはご自身が描かれる漫画でも、その世界に合ったテクノロジー、文化というものを大切にされる方なので、今回も『デビサバ』の世界観の中における侵略者の役割について、何度もやりとりしながら、その機能や性能をそのままデザインに盛り込んでいただいた感じですね。

オーハタ
ある意味、機能的にデザインに納得できる、という点がリアルに感じる理由なのでしょうね。

古東
侵略者のもともとのコンセプトが、生物的でない武器・兵器のような存在だったこともありますね。鬼頭さんから頂くアイデアがいつも刺激的で、こっちも何かおもしろいこと言わなきゃ、みたいな感じで、自分としては戦いでした…(笑)。

オーハタ
『2』からの参加という意味では、音楽は今回伊藤賢治さんが手がけられていますね。以前お話を伺ったとき、最初は『デビサバ』の現代劇の中でファンタジーを表現するのに苦労した、とお聞きしました。

高田
そうでしたね。そういう意味では、戦闘終了のときにかかる曲があるんですけど最初はすごく壮大な大戦が終わった後のファンファーレみたいな感じだったんです。それもファンタジーには違いないけど、やはり違和感があってそこは何度もやりとりしました。

オーハタ
伊藤さんも最初は試行錯誤されたようですね。

高田
音色を現代風に変えるために、新しい楽器を試していただいたりしましたね。でも最終的には、伊藤さんらしさとアトラスらしさがうまく融合した楽曲が、たくさんできたと思ってます。


(次回に続きます)

記者オーハタが訊く!【アトラス編 vol.2】

こんにちは!「デビプレ」専属記者の、オーハタです!

<p発売から1週間が経ちました、「デビルサバイバー2」!みなさんお楽しみ頂けておりますでしょうか?

本日は、クリエイターインタビュー・アトラス編のvol.2として、引き続き制作スタッフを直撃! 今回は発売日直前に伺った「ゲームのリアリティ」について、第1作の制作当時のお話もまじえて深~く迫ります!


PROFILE

0722_01

高田慎二郎
『デビルサバイバー2』ディレクター
2月27日生まれ。福岡出身。
代表作「グローランサー」シリーズや「女神異聞録デビルサバイバー」など、シミュレーションRPGを中心に数多く手がける。


0722_02

古東晃子
『デビルサバイバー2』アートディレクター
10月19日生まれ。北海道出身。
「真・女神転生III -NOCTURNE-」ではバトル演出とエフェクトを担当し、前作「女神異聞録デビルサバイバー」より引き続きアートディレクションを担当。


オーハタ
前回は街のマップのリアリティについてお聞きしましたが、今回は物語におけるリアリティについて、お聞きしたいと思います。『デビサバ』はシナリオ上でのリアルなサバイバル描写も特徴のひとつですよね。

高田
はい。まあ、そもそも悪魔が出てくる時点で”ファンタジー”であることに違いありませんが、そこをいかに現実的に感じさせられるかは、前作でかなり悩みました。結果、自分がいちばん注意したのは、キャラクターのリアクションなんです。

オーハタ
リアクションというと、会話のときのキャラの反応の仕方ですか?

高田
そうです。キャラクターのリアクションにプレイヤーが違和感を感じないように、細かく気を配っています。

オーハタ
違和感というと、具体的には?

高田
たとえば悪魔やラプラスメールを初めて見たとき、ただ怖がるだけでは、明らかに変なんですよ。普通、いきなりそんなもの見て信じませんから(笑)。

オーハタ
たしかに…。

高田
最初の頃はそのことに気づかなくて、なんでこんなに白々しく感じるのかなって、だいぶ悩んだ記憶があります。でもキャラのリアクションに納得ができると、だんぜん現実感がわいてくるんですね。そこに気がついてから、ひたすらおかしいところをつぶしていって…。

オーハタ
そんな細かいところに理由があったんですね。

高田
プロットまで影響するものではないんですが、それぞれの場面のリアクションの修正をとにかくひたすら繰り返し、直していきました。

古東
たぶんその話につながると思うんですが、第1作の開発当初、社内の人間にテストプレイしてもらってどう感じるか、意見を聞いたことがありました。そうしたらまず「この世界のルールがわからない」って言われたんです。

オーハタ
ルール…、どういう意味なんでしょう?

古東
たとえば「友達が3メートルの高さの木から落ちた」ってことがあったら、現実に近い世界で起きたら一大事ですが、それがデフォルメされた世界観…勇者様がいるような場所で起こったことだったらそんなたいしたことじゃないですよね?

オーハタ
そうですね。世界の”当たり前”が違うというか。

古東
その通り、無意識に”暗黙のルール”があるんです。でも作り始めの頃の『デビサバ』の現実世界は、どこまでが普通で、どこからが驚くところなのかがわからなくて疲れる…、ということだったんです。たとえば、デビサバ1作目の時のお話なんですが、「新宿にどぎついオレンジの服を着た新興宗教の信者が現れた時、このゲームではそういったことは普通なのか?それとも驚くべきことなのか?それがわからないので、彼らのリアクションに説得力が無い」と指摘がありまして。

0804-1
<「女神異聞録デビルサバイバー」より>

オーハタ
確かに、現実の世界だったらとても驚くような鮮やかで特徴的な服装といいますか…。信者さん、ローブで顔も隠れ気味ですし。

古東
後日、設定資料集のインタビューの際にヤスダさんが「オレンジの教団服がありの世界なのか、確認するために敢えて外して描いた」と仰っていました。私は「この世界ではオレンジ服はアリ」と判断したので、ユズやアツロウたちはその点については、驚く等の反応は見せていません。

オーハタ
なるほど。現実世界を舞台にしながら、悪魔が跋扈するこのデビサバの世界で、どこまでが当たり前で、どこからが不自然なのかという線引きといいますか…難しいです。たしかにそれは、作っている側からは、なかなか気づきにくいポイントですね。

古東
そうなんです。それで、現実とファンタジーの境目をよりシビアにして、悪魔が出てくることは普通じゃないし驚くべきところだ、って捉えられるように、世界のルールを作っていったんです。

オーハタ
リアルさというのは見た目だけじゃない、ということですよね。そういう意味ではヤスダスズヒトさんのキャラもリアルというよりは、ポップな印象と言いますか、今っぽさを感じるデザインですね。

古東
ヤスダさんのポップな絵柄もあいまって、世界のルールが固定されるまでは、シナリオはかなり試行錯誤した記憶があります。

高田
第1作はリアクションを何度も書き直して…よしできた! ってふと気づいたら、それがものすごいボリュームになってた(笑)。でも、それだとお話のテンポが悪くなってしまうので、今度はいかにそのリアクションを残しつつ削っていくか、という作業に苦労しましたね。

オーハタ
キャラのリアクションとプレイヤーの気持ちをリンクさせることが、リアルさにつながっていたわけですね。

高田
そうですね。そういった前回の経験があったので『2』では最初から、かなり注意を払いました。それでも冒頭から街が壊滅状態になるので、導入はかなり大変でしたが。

オーハタ
リアルさ、という意味では今回の鬼頭莫宏さんがデザインした侵略者もこの世界の中では特異な存在ですね。

0804-2
<「デビルサバイバー2」よりセプテントリオン>

高田
悪魔でも人間でもない、第3の存在ですからね。怖くて不気味なボスだけど悪魔でない、という矛盾したところからスタートしました。

オーハタ
設定上はまったくのファンタジーなんですけど、不思議なリアリティを感じます。

古東
鬼頭さんはご自身が描かれる漫画でも、その世界に合ったテクノロジー、文化というものを大切にされる方なので、今回も『デビサバ』の世界観の中における侵略者の役割について、何度もやりとりしながら、その機能や性能をそのままデザインに盛り込んでいただいた感じですね。

オーハタ
ある意味、機能的にデザインに納得できる、という点がリアルに感じる理由なのでしょうね。

古東
侵略者のもともとのコンセプトが、生物的でない武器・兵器のような存在だったこともありますね。鬼頭さんから頂くアイデアがいつも刺激的で、こっちも何かおもしろいこと言わなきゃ、みたいな感じで、自分としては戦いでした…(笑)。

オーハタ
『2』からの参加という意味では、音楽は今回伊藤賢治さんが手がけられていますね。以前お話を伺ったとき、最初は『デビサバ』の現代劇の中でファンタジーを表現するのに苦労した、とお聞きしました。

高田
そうでしたね。そういう意味では、戦闘終了のときにかかる曲があるんですけど最初はすごく壮大な大戦が終わった後のファンファーレみたいな感じだったんです。それもファンタジーには違いないけど、やはり違和感があってそこは何度もやりとりしました。

オーハタ
伊藤さんも最初は試行錯誤されたようですね。

高田
音色を現代風に変えるために、新しい楽器を試していただいたりしましたね。でも最終的には、伊藤さんらしさとアトラスらしさがうまく融合した楽曲が、たくさんできたと思ってます。


(次回に続きます)