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記者オーハタが訊く!【アトラス編 vol.1】

記者オーハタが訊く!アトラス高田慎二郎×古東晃子vol.1

「デビプレ」専属記者の、オーハタです!

ヤスダスズヒトさん、鬼頭莫宏さん、伊藤賢治さんと、そうそうたる顔ぶれにインタビューしてきたデビプレですが、今回は開発のお2人・アトラスの高田慎二郎さんと、古東晃子さんを直撃!

発売までいよいよカウントダウンとなった『デビルサバイバー2』の制作秘話を、たっぷり聞いちゃいました!


PROFILE

0722_01

高田慎二郎
『デビルサバイバー2』ディレクター
2月27日生まれ。福岡出身。
代表作「グローランサー」シリーズや「女神異聞録デビルサバイバー」など、シミュレーションRPGを中心に数多く手がける。


0722_02

古東晃子
『デビルサバイバー2』アートディレクター
10月19日生まれ。北海道出身。
「真・女神転生III -NOCTURNE-」ではバトル演出とエフェクトを担当し、前作「女神異聞録デビルサバイバー」より引き続きアートディレクションを担当。


オーハタ
前作から約2年越しの続編・・・! ということで、待ってくださっていたファンの方もかなり多いと思います。

高田
すっかり、お待たせしてしまいました。いろいろ要因はあるんですが、アトラスの場合、携帯機のゲームと言えども据え置き機とそれほど変わらないボリュームでしっかり作っていくスタイルなので、これだけの時間が必要だった、というのはあります。

オーハタ
発表の際、ユーザーさんの反応はどうでしたか?

高田
デビサバOCの発表と近かったので、3DSなのか?とか、OCと2を混同したりといった事態が起こりました。皆さんを混乱させてしまい、申し訳ありませんでした。大人の事情ということで、ご容赦下さい(苦笑)それと、デビサバ2のタイトル発表はちょうど、震災の翌週だったので、色々と大変でした。

オーハタ
そうでしたね。ゲームにも影響はありましたか?

古東
実は、ちょうど震災の日の朝、ゲームに必要な全てのデータを入れ終わったところで。徹夜明けで皆ホッとしていた矢先だったのですが、即対応に動きました。『デビサバ』の舞台が現実の世界なので、実際の震災のイメージと重なって恐怖を感じる、という声が社内からもあって、ゲーム内容に修正を加えるかどうかも含めて、議論したんですね。それで非常に現場も混乱しましたし、もしかしたらゲームが出ないかも・・・、とまで、皆が思いました。

オーハタ
「発売中止」という可能性も、あったんですか?

高田
はい、もちろんありました。でもいろいろ議論を尽くした結果、ゲームの内容はそのままに、ただし打ち出し方を変ることにしました。具体的には、ゲームのテーマである「極限状態のサバイバル」を、変に曲げるようなことはせずに、そこから人々が立ち上がっていく姿をストレートにそのままメッセージに込めていこう、という方針を定めたんです。

オーハタ
それは、「女神異聞録デビルサバイバー」の頃より『デビサバ』に込められているテーマですよね。

高田
そうですね。ですが当初は、極限状態が続く状況の都市を前面に出した打ち出し方を狙っていたので、震災の直後はかなりバタバタしていました。初出の情報からなにから、計画をいろいろ立て直しましたね…。

古東
実は震災の直前に、すでに初出の広告を入校していたので、先ほどのゲーム内容も含めてどうするかを慌てて検討し、週末に急いでデータを差し替えたりしていました。

高田
たくさんのスタッフや各方面の方々が協力してくれて、迅速に対応することができました。結果的に、テーマを直接つたえる、わかりやすくて熱いプロモーションになったと思っています。当初の広告では、誤解を招きそうな表現もありましたし…。

オーハタ
あのときはテレビも連日震災の報道一色でしたし、日本全体を沈んだ空気が包んでいる感じでした。

古東
震災直後、皆沈んでしまってて。実際、ゲームを作って売るという仕事は、平和の上でしか成り立たないことを痛感し、ゲームって結局何なんだろう、自分たちの仕事って何なんだろう、ってとこまで考えたりもしました。そういう意味では、震災を経験してからさまざまな葛藤した中で、『デビサバ』とは何なのか、改めて再確認する、きっかけにはなりました。『2』を作るにあたっての大命題

オーハタ
『2』の制作にあたって、最初に大事にしたコンセプトは何ですか?

高田
さきほど話したことにもつながるんですが、まず最初に改めて『デビサバ』の魅力は何か、という点をチームの中で話して共有しましたね。シンプルに言うとそれは、極限状態の中での葛藤や選択であり、その中での人々の善悪の対立を描くことでした。あとはシステム的に、シミュレーションも大事な部分なんですが、とにかくまず育成にこだわれることを最優先に、システム系のプランナーと密に詰めていきました。

オーハタ
シリーズ2作目ということで、前作からどこをどう進化させるか、悩まれるところですよね。

高田
そうですね。仮に前作の出来が80点としたら、それよりちょっとおもしろいくらいでは、前作のほうがおもしろいという評価になってしまうと思うんです。だから、2~3割増しでおもしろくしないといけない。

オーハタ
たしかに、パワーアップ、ボリュームアップは当然! とは思っちゃいます。

高田
そうですね。ボリュームアップという意味では、「2」でもタイムリミットが欲しかったけど、 7日間を1ヵ月に延ばしても仕方ないし、それとは別のスケール感が必要ということで、舞台を日本全国にしたりとか、新しいボスを出そう!という設定ができたんです。あと伊藤賢治さんに音楽をお願いして、前作とはさらにひと味違う雰囲気を施しました。

オーハタ
システムは前作から快適になったりしてますが、大きくは変わっていない気がします。そこはこだわりが?

高田
システムは、あまりいじりすぎて、違うゲームになってしまうのは嫌だったので、悪魔やスキルの数を増やしたりして、育成をより楽しめるバージョンアップで、という考え方をしたんです。

オーハタ
なるほど。でもそれができたのは、前作のシステムの完成度が高かったから、というのがあるんだと思います。ところで、個人的に聞きたかったんですが、前作のキャラや世界観を引き継ぐ、という案はなかったんですか・・・?

古東
それは、最初になしという話になりました。続編として作るにあたっての大命題として、前作をやってない方が初めてプレイしたときわからない、損した気分になるようなものはやめよう、という方針があったんです。

オーハタ
そうなんですね・・・。じゃあ私のお気に入りのジンさんは、出ないんですね(涙)。

古東
ご、ごめんなさい・・・。本当はファンサービスの意味をこめて前作のキャラクターもちらっと出したらという話もあったんですけど、この点はとにかく高田が頑固で・・・(笑)。

高田
いや、僕はそんなに強く言ったかなぁ(笑)。何かありましたっけ?

古東
高田さんのチェックでことごとくボツになったので、全然残ってないんです。

高田
あぁ、セリフが前作を彷彿とさせるものも NGにはしましたね。これはどこかで見たな、とか。わかる人しかわからないレベルのことも、結局ネットとかでその話題が盛り上がってしまうと、『2』からの方が寂しくなってしまうじゃないですか。

オーハタ
なるほど・・・。でもこの後には『デビルサバイバー オーバークロック』もありますから、『2』から入った人にそちらもぜひ遊んでみてもらいたいですね。面白く×格好良く

オーハタ
以前ヤスダスズヒトさんのインタビューでヤスダさんがおっしゃっていたのですが、高田さんは守るものと壊すものの基準が、けっこう独特な気がします。

高田
自分ではよくわからないんですけど、どうなんでしょう・・・(笑)。私生活でも、興味があればすごくこだわるんけど、興味がないとどうでもいい、というのはあります。

古東
たしかに、ここは大事っていう部分とお任せします、っていう部分が極端ですね(笑)。

高田
自分よりもその人のセンスが優れてるから、自分は口を出さないほうがいいな、と思っている部分もありますね。

オーハタ
高田さんが逐一すべてに目を行き渡らせて、厳しくチェックしているわけではないんですね。

古東
ゲームが面白くなるために必要なところは高田が、格好良くなるために必要なところは私がチェックする、と言う風に分かれていると、私は勝手に思ってますけど(笑)。

オーハタ
あぁ、それは、すごくわかりやすいです!(笑)

古東
面白くならなくてうまくいかなかったり、これはもう、好みの問題だよ!となってみんながどうしよう・・・っていうときは高田が決める、ってやりとりが多いですね。

高田
自分はロジックで考えていて、古東はもっとセンス的なところで考えてる、というのが、良いバランスになっている気がします。

古東
だからこうするとおもしろいって高田が言ってもそれは格好悪いしダサいってなったら、変更もお願いしますし、それは確かにおもしろい!となったら、こっちもおもしろさはそのままで最大限カッコよくなるように努力する…と、そんな感じでやっています。苦渋の選択!? 『2』新登場のご当地マップ

オーハタ
今回の舞台は日本全土に広がってますが、ロケハン(※1)のような取材は行われたんですか?

古東
マップ班で手分けして各地へ行きましたね。東京の他に札幌、名古屋、大阪・・・。福岡は、私も自分で行きました。

オーハタ
本作のマップに出てくる場所は、どのように決められたんですか?

古東
いろんな方にアンケートをして、地元の方になじみがある場所などを考慮しつつ、候補地を選びました。

オーハタ
なるほど。取材はどんな風に行われたんですか?

古東
基本的にはマップ班のスタッフが候補地を足で回ってバシバシ風景を撮影して、その写真を現地から送ってもらいました。それを見ながら、こういうところを撮ってとか、さらにやりとりして・・・。それで向き不向きを総合的に判断して、マップのチームリーダーが場所を決めていきました。

オーハタ
マップに向いた場所、というのはあるんですか?

古東
えーと、それは結構悩ましい質問なんですが、まず前提として、『デビサバ』のシステムでは、普通シミュレーションゲームによくある「地形効果」の概念がないんですよ。

オーハタ
あっ、そういえば・・・! 水の上は水属性キャラが、みたいなアレですね。

古東
そうです。ゲームの面白さ的にそれが必要だったら、突然池のある公園が出てきたりしてもある程度仕方ないって逃げもあるのですが、デビサバにはそれがないので、必然的にリアルを追求することになります。で、街を見渡すと、地面は平らなアスファルトで、起伏は階段ぐらいしかないんです。…でもそれって、どこも一緒でつまらないですよね?

オーハタ
そうですね、そのままというか…物足りなく感じてしまうかもしれません。

古東
だから、どんなに有名な場所でも、斜め45度上から見たときに平坦な場所はマップとして面白くないので、いちばん最初に候補から外れますね。逆に、立体構造がしっかりしているところはやはりマップにしやすいです。

オーハタ
たしかに、特徴的な建物があると作りやすそうです。

古東
でもそれがじつは特徴があるものほど、見比べてみると、ゲームは変えてたりするんですよ。現実と違っても、本物そっくりと認識できるようマップの人間がいろいろと工夫しているんです。

オーハタ
それは、気がつきませんでした・・・!特徴的な分、その印象だけおさえていれば本物そっくり、と認識されるんでしょうね。

古東
そうですね。マップのリアルさ、という意味ではいかに忠実に町並みを再現するかよりも、そこの空気感を出すことが大事だと思っています。スペース的に実際広々としているところでも、いつも人がいっぱいで狭く感じる場所などは、あえて狭く感じるように作ったりしてますから。

オーハタ
意外に条件が厳しいというか、残ったのは厳選されたマップというわけですね。

古東
そうですね、苦渋の選択を・・・(笑)。自分は札幌出身なので今回札幌についていろいろ意見を出してるんですけど、札幌は今、札幌駅前が、いちばんの繁華街なんですね。でも見た目がどうもゲーム映えしなくて・・・(笑)

オーハタ
残念ながら選ばれなかったんですね、札幌駅前・・・。その他の候補地では、どうでしたか?

古東
大阪はかなりアンケートが参考になりましたね。「阪急のあずき色の電車を見ると、大阪に帰ってきたって思う」という声がたくさんあって、真っ先に、阪急の梅田駅は決まりました(笑)。

高田
たしかに、その意見多かったですよね。

古東
梅田駅のマップはかなりこだわって作ってますんで、ぜひ大阪の方には見て遊んで欲しいです。

※1:ロケハン
ロケーション・ハンティングの略。
ゲーム内に登場させるマップの候補地を決めるためマップ担当さんが全国各地を回られたそうです。


伊藤さん、ありがとうございました!

今回伊藤さんが手がけた楽曲は『デビルサバイバー2』公式サイトでも現在2曲聴くことができます。

本日はここまでです。発売前にまだまだいきます、デビサバ2開発秘話。 次回 vol.2に続きます!

記者オーハタが訊く!【アトラス編 vol.1】

記者オーハタが訊く!アトラス高田慎二郎×古東晃子vol.1

「デビプレ」専属記者の、オーハタです!

ヤスダスズヒトさん、鬼頭莫宏さん、伊藤賢治さんと、そうそうたる顔ぶれにインタビューしてきたデビプレですが、今回は開発のお2人・アトラスの高田慎二郎さんと、古東晃子さんを直撃!

発売までいよいよカウントダウンとなった『デビルサバイバー2』の制作秘話を、たっぷり聞いちゃいました!


PROFILE

0722_01

高田慎二郎
『デビルサバイバー2』ディレクター
2月27日生まれ。福岡出身。
代表作「グローランサー」シリーズや「女神異聞録デビルサバイバー」など、シミュレーションRPGを中心に数多く手がける。


0722_02

古東晃子
『デビルサバイバー2』アートディレクター
10月19日生まれ。北海道出身。
「真・女神転生III -NOCTURNE-」ではバトル演出とエフェクトを担当し、前作「女神異聞録デビルサバイバー」より引き続きアートディレクションを担当。


オーハタ
前作から約2年越しの続編・・・! ということで、待ってくださっていたファンの方もかなり多いと思います。

高田
すっかり、お待たせしてしまいました。いろいろ要因はあるんですが、アトラスの場合、携帯機のゲームと言えども据え置き機とそれほど変わらないボリュームでしっかり作っていくスタイルなので、これだけの時間が必要だった、というのはあります。

オーハタ
発表の際、ユーザーさんの反応はどうでしたか?

高田
デビサバOCの発表と近かったので、3DSなのか?とか、OCと2を混同したりといった事態が起こりました。皆さんを混乱させてしまい、申し訳ありませんでした。大人の事情ということで、ご容赦下さい(苦笑)それと、デビサバ2のタイトル発表はちょうど、震災の翌週だったので、色々と大変でした。

オーハタ
そうでしたね。ゲームにも影響はありましたか?

古東
実は、ちょうど震災の日の朝、ゲームに必要な全てのデータを入れ終わったところで。徹夜明けで皆ホッとしていた矢先だったのですが、即対応に動きました。『デビサバ』の舞台が現実の世界なので、実際の震災のイメージと重なって恐怖を感じる、という声が社内からもあって、ゲーム内容に修正を加えるかどうかも含めて、議論したんですね。それで非常に現場も混乱しましたし、もしかしたらゲームが出ないかも・・・、とまで、皆が思いました。

オーハタ
「発売中止」という可能性も、あったんですか?

高田
はい、もちろんありました。でもいろいろ議論を尽くした結果、ゲームの内容はそのままに、ただし打ち出し方を変ることにしました。具体的には、ゲームのテーマである「極限状態のサバイバル」を、変に曲げるようなことはせずに、そこから人々が立ち上がっていく姿をストレートにそのままメッセージに込めていこう、という方針を定めたんです。

オーハタ
それは、「女神異聞録デビルサバイバー」の頃より『デビサバ』に込められているテーマですよね。

高田
そうですね。ですが当初は、極限状態が続く状況の都市を前面に出した打ち出し方を狙っていたので、震災の直後はかなりバタバタしていました。初出の情報からなにから、計画をいろいろ立て直しましたね…。

古東
実は震災の直前に、すでに初出の広告を入校していたので、先ほどのゲーム内容も含めてどうするかを慌てて検討し、週末に急いでデータを差し替えたりしていました。

高田
たくさんのスタッフや各方面の方々が協力してくれて、迅速に対応することができました。結果的に、テーマを直接つたえる、わかりやすくて熱いプロモーションになったと思っています。当初の広告では、誤解を招きそうな表現もありましたし…。

オーハタ
あのときはテレビも連日震災の報道一色でしたし、日本全体を沈んだ空気が包んでいる感じでした。

古東
震災直後、皆沈んでしまってて。実際、ゲームを作って売るという仕事は、平和の上でしか成り立たないことを痛感し、ゲームって結局何なんだろう、自分たちの仕事って何なんだろう、ってとこまで考えたりもしました。そういう意味では、震災を経験してからさまざまな葛藤した中で、『デビサバ』とは何なのか、改めて再確認する、きっかけにはなりました。『2』を作るにあたっての大命題

オーハタ
『2』の制作にあたって、最初に大事にしたコンセプトは何ですか?

高田
さきほど話したことにもつながるんですが、まず最初に改めて『デビサバ』の魅力は何か、という点をチームの中で話して共有しましたね。シンプルに言うとそれは、極限状態の中での葛藤や選択であり、その中での人々の善悪の対立を描くことでした。あとはシステム的に、シミュレーションも大事な部分なんですが、とにかくまず育成にこだわれることを最優先に、システム系のプランナーと密に詰めていきました。

オーハタ
シリーズ2作目ということで、前作からどこをどう進化させるか、悩まれるところですよね。

高田
そうですね。仮に前作の出来が80点としたら、それよりちょっとおもしろいくらいでは、前作のほうがおもしろいという評価になってしまうと思うんです。だから、2~3割増しでおもしろくしないといけない。

オーハタ
たしかに、パワーアップ、ボリュームアップは当然! とは思っちゃいます。

高田
そうですね。ボリュームアップという意味では、「2」でもタイムリミットが欲しかったけど、 7日間を1ヵ月に延ばしても仕方ないし、それとは別のスケール感が必要ということで、舞台を日本全国にしたりとか、新しいボスを出そう!という設定ができたんです。あと伊藤賢治さんに音楽をお願いして、前作とはさらにひと味違う雰囲気を施しました。

オーハタ
システムは前作から快適になったりしてますが、大きくは変わっていない気がします。そこはこだわりが?

高田
システムは、あまりいじりすぎて、違うゲームになってしまうのは嫌だったので、悪魔やスキルの数を増やしたりして、育成をより楽しめるバージョンアップで、という考え方をしたんです。

オーハタ
なるほど。でもそれができたのは、前作のシステムの完成度が高かったから、というのがあるんだと思います。ところで、個人的に聞きたかったんですが、前作のキャラや世界観を引き継ぐ、という案はなかったんですか・・・?

古東
それは、最初になしという話になりました。続編として作るにあたっての大命題として、前作をやってない方が初めてプレイしたときわからない、損した気分になるようなものはやめよう、という方針があったんです。

オーハタ
そうなんですね・・・。じゃあ私のお気に入りのジンさんは、出ないんですね(涙)。

古東
ご、ごめんなさい・・・。本当はファンサービスの意味をこめて前作のキャラクターもちらっと出したらという話もあったんですけど、この点はとにかく高田が頑固で・・・(笑)。

高田
いや、僕はそんなに強く言ったかなぁ(笑)。何かありましたっけ?

古東
高田さんのチェックでことごとくボツになったので、全然残ってないんです。

高田
あぁ、セリフが前作を彷彿とさせるものも NGにはしましたね。これはどこかで見たな、とか。わかる人しかわからないレベルのことも、結局ネットとかでその話題が盛り上がってしまうと、『2』からの方が寂しくなってしまうじゃないですか。

オーハタ
なるほど・・・。でもこの後には『デビルサバイバー オーバークロック』もありますから、『2』から入った人にそちらもぜひ遊んでみてもらいたいですね。面白く×格好良く

オーハタ
以前ヤスダスズヒトさんのインタビューでヤスダさんがおっしゃっていたのですが、高田さんは守るものと壊すものの基準が、けっこう独特な気がします。

高田
自分ではよくわからないんですけど、どうなんでしょう・・・(笑)。私生活でも、興味があればすごくこだわるんけど、興味がないとどうでもいい、というのはあります。

古東
たしかに、ここは大事っていう部分とお任せします、っていう部分が極端ですね(笑)。

高田
自分よりもその人のセンスが優れてるから、自分は口を出さないほうがいいな、と思っている部分もありますね。

オーハタ
高田さんが逐一すべてに目を行き渡らせて、厳しくチェックしているわけではないんですね。

古東
ゲームが面白くなるために必要なところは高田が、格好良くなるために必要なところは私がチェックする、と言う風に分かれていると、私は勝手に思ってますけど(笑)。

オーハタ
あぁ、それは、すごくわかりやすいです!(笑)

古東
面白くならなくてうまくいかなかったり、これはもう、好みの問題だよ!となってみんながどうしよう・・・っていうときは高田が決める、ってやりとりが多いですね。

高田
自分はロジックで考えていて、古東はもっとセンス的なところで考えてる、というのが、良いバランスになっている気がします。

古東
だからこうするとおもしろいって高田が言ってもそれは格好悪いしダサいってなったら、変更もお願いしますし、それは確かにおもしろい!となったら、こっちもおもしろさはそのままで最大限カッコよくなるように努力する…と、そんな感じでやっています。苦渋の選択!? 『2』新登場のご当地マップ

オーハタ
今回の舞台は日本全土に広がってますが、ロケハン(※1)のような取材は行われたんですか?

古東
マップ班で手分けして各地へ行きましたね。東京の他に札幌、名古屋、大阪・・・。福岡は、私も自分で行きました。

オーハタ
本作のマップに出てくる場所は、どのように決められたんですか?

古東
いろんな方にアンケートをして、地元の方になじみがある場所などを考慮しつつ、候補地を選びました。

オーハタ
なるほど。取材はどんな風に行われたんですか?

古東
基本的にはマップ班のスタッフが候補地を足で回ってバシバシ風景を撮影して、その写真を現地から送ってもらいました。それを見ながら、こういうところを撮ってとか、さらにやりとりして・・・。それで向き不向きを総合的に判断して、マップのチームリーダーが場所を決めていきました。

オーハタ
マップに向いた場所、というのはあるんですか?

古東
えーと、それは結構悩ましい質問なんですが、まず前提として、『デビサバ』のシステムでは、普通シミュレーションゲームによくある「地形効果」の概念がないんですよ。

オーハタ
あっ、そういえば・・・! 水の上は水属性キャラが、みたいなアレですね。

古東
そうです。ゲームの面白さ的にそれが必要だったら、突然池のある公園が出てきたりしてもある程度仕方ないって逃げもあるのですが、デビサバにはそれがないので、必然的にリアルを追求することになります。で、街を見渡すと、地面は平らなアスファルトで、起伏は階段ぐらいしかないんです。…でもそれって、どこも一緒でつまらないですよね?

オーハタ
そうですね、そのままというか…物足りなく感じてしまうかもしれません。

古東
だから、どんなに有名な場所でも、斜め45度上から見たときに平坦な場所はマップとして面白くないので、いちばん最初に候補から外れますね。逆に、立体構造がしっかりしているところはやはりマップにしやすいです。

オーハタ
たしかに、特徴的な建物があると作りやすそうです。

古東
でもそれがじつは特徴があるものほど、見比べてみると、ゲームは変えてたりするんですよ。現実と違っても、本物そっくりと認識できるようマップの人間がいろいろと工夫しているんです。

オーハタ
それは、気がつきませんでした・・・!特徴的な分、その印象だけおさえていれば本物そっくり、と認識されるんでしょうね。

古東
そうですね。マップのリアルさ、という意味ではいかに忠実に町並みを再現するかよりも、そこの空気感を出すことが大事だと思っています。スペース的に実際広々としているところでも、いつも人がいっぱいで狭く感じる場所などは、あえて狭く感じるように作ったりしてますから。

オーハタ
意外に条件が厳しいというか、残ったのは厳選されたマップというわけですね。

古東
そうですね、苦渋の選択を・・・(笑)。自分は札幌出身なので今回札幌についていろいろ意見を出してるんですけど、札幌は今、札幌駅前が、いちばんの繁華街なんですね。でも見た目がどうもゲーム映えしなくて・・・(笑)

オーハタ
残念ながら選ばれなかったんですね、札幌駅前・・・。その他の候補地では、どうでしたか?

古東
大阪はかなりアンケートが参考になりましたね。「阪急のあずき色の電車を見ると、大阪に帰ってきたって思う」という声がたくさんあって、真っ先に、阪急の梅田駅は決まりました(笑)。

高田
たしかに、その意見多かったですよね。

古東
梅田駅のマップはかなりこだわって作ってますんで、ぜひ大阪の方には見て遊んで欲しいです。

※1:ロケハン
ロケーション・ハンティングの略。
ゲーム内に登場させるマップの候補地を決めるためマップ担当さんが全国各地を回られたそうです。


伊藤さん、ありがとうございました!

今回伊藤さんが手がけた楽曲は『デビルサバイバー2』公式サイトでも現在2曲聴くことができます。

本日はここまでです。発売前にまだまだいきます、デビサバ2開発秘話。 次回 vol.2に続きます!