Pick Up Banner

記者オーハタが訊く!【鬼頭莫宏氏 vol.1】

「デビプレ」専属記者のオーハタです!

今日は連載企画「記者オーハタが訊く!」に、2人目のクリエイターをお迎えしました。

「デビルサバイバー2」でボスキャラクターデザインを担当した、鬼頭莫宏さんです!

1日1体ずつ現れる謎の侵略者セプテントリオン。その未公開イラストを含む秘蔵の蔵出しショットも必見です!


PROFILE

0609_01

鬼頭莫宏
1966年8月18日生まれ、愛知県出身。
漫画家、イラストレーターとして、代表作「なるたる」「ぼくらの」などを執筆。「エヴァンゲリオン新劇場版:破」では第3使徒をデザインするなど、活躍中のクリエイター。
『デビルサバイバー2』ではボスとなる侵略者セプテントリオンのデザインを手がける。


【第1回】セプテントリオンが生まれるまで

オーハタ
今私の目の前に、鬼頭さんが描かれた侵略者・セプテントリオンのものすごい量のラフが広がっているんですが…。かなりの枚数がありますね!

0609_02

鬼頭仕事のやりとりが、主に電話やメールだったので、距離的な問題や打ち合わせの回数を埋める意味で、自分が思いついたものをどんどん絵に起こし、投げていきました。

オーハタ
毎日1体ずつ襲ってくる、7体の謎の侵略者…。鬼頭さんはその侵略者デザインを手掛けられましたが、最初はどんな形で、お仕事の依頼を受けたんですか?

鬼頭
最初はまず、アトラスのアートディレクターの古東さんから、「無機質で生き物っぽくない、神の使いのような存在」という説明を受けまして、それがずっと印象に残ってますね。

オーハタ
なるほど。デザインの依頼は、具体的にこんな感じで…と言う風なイメージのお願いなどもあったんですか?

鬼頭
そこは今回、絵とかの具体的なカタチでは、あえて頂いてないんです。というのもアートディレクターの古東さんいわく「アトラスが形に出来ないイメージを、鬼頭さんから頂きたい」という風におっしゃられたんですね。

オーハタ
鬼頭さんだからこそ生み出せるものを、というご依頼の流れだったのですね。最初に絵でイメージを出すと、どうしてもスタートが固まってしまうのでしょうか?

鬼頭
そうですね。ですから発注自体は抽象的で、最低限必要なシナリオや戦略上の設定・仕様だけ教えて頂いて、そこから自分が思い浮かべたものを形にしていきました。

オーハタ
そうだったのですね!発想の時点から鬼頭さんに委ねられたという。

鬼頭
はい。ですので、まずラフを何種類かこちらから出して、そこから取捨選択してもらって、詰めていきました。ただもちろん、決定権をもっているのはアトラスさんなので、僕はその大元となるデザインを提案して、それを一緒にゲームのキャラクターとしてブラッシュアップしていく、という流れで作っていきました。

オーハタ
セプテントリオンはみんなぱっと見、無機質で、とらえどころがない感じで…、でもその中にも、共通したシンプルな美しさ、みたいなものがある気がします。

鬼頭
そういう意味では、デザインって本当に難しい、っていつも思ってるんですけど、今回通して心がけたのは、極力「足し算のデザインにはしない」ってことなんです。

オーハタ
足し算…。デザインを付け足していく、という意味で?

鬼頭
はい。なるべく、足して説明していくのではなく、ムダなものをそぎ落としていくやり方を意識しました。

オーハタ
たしかに、どのセプテントリオンをみても非常に洗練されている、という印象を受けますね。スマートで、無機質で、そこが怖いと言うか。

鬼頭
ただそうは言っても、僕のデザイン的な満足と、ゲームを作る方、遊ぶ方の感覚はバランスがとれてないといけないので、 7体それぞれ、バリエーションやアクセントなどで、誰にとってもかっこいいおもしろいと思える最低限の要素を残したつもりです。

オーハタ
私個人的には、いちばん最初に出てくるこの”ドゥベ”っていうセプテントリオンにすごく惹かれます。怖いようでいて、なんだか美味しそうでもあるという…(笑)。

septem_dolube
<セプテントリオン/日曜の侵略者:ドゥベ>

鬼頭
たしかデザインしたのも、これがいちばん最初でした。「爆発する爆弾。だんだん大きくふくらんでいく」っていう設定で、最初は蓮のようなイメージで描きました。それがいつのまにか、ふくらむイメージのほうが強くなっていって…。

0609_04
<ドゥベのラフイメージ>

オーハタ
ドゥベの登場シーンをゲームでも見たんですが、怖い設定にも関わらず、「この子本当に強いのかな?」と、つい思ってしまうような…。

鬼頭
そうですね。このときどんなことを考えてこうなったか、じつはあんまり覚えてないんですけど、最初に登場する「神の使い」的にすごいはずのキャラが、バカにしてる?ってくらい見た目滑稽なのは、逆にアリなんじゃないか!? と、考えた記憶があります。

オーハタ
たしかに、ゲーム中でもぷくーっと大きくなったりして、結構しぐさ?がかわいいところあるんです(笑)。

鬼頭
そう。でもそれでいて、戦ってみるとどうしようもないくらい強い、っていう…(笑)。

オーハタ
イラスト原画をよく見てみると、色も単純なピンクではなて、結構おどろおどろしいんですね。とらえどころのない恐怖感があるといいますか…。

鬼頭
色や質感は遊園地の乗り物にあってもおかしくなくて、まさかこんなやつにやられることはないな…と思わせつつ、ボコボコに…という風に、まずは遊んでもらえると嬉しいです(笑)。


0609_03

鬼頭さん、ありがとうございました!

お話は第2回のインタビューに続きます。どうぞお楽しみに!

記者オーハタが訊く!【鬼頭莫宏氏 vol.1】

「デビプレ」専属記者のオーハタです!

今日は連載企画「記者オーハタが訊く!」に、2人目のクリエイターをお迎えしました。

「デビルサバイバー2」でボスキャラクターデザインを担当した、鬼頭莫宏さんです!

1日1体ずつ現れる謎の侵略者セプテントリオン。その未公開イラストを含む秘蔵の蔵出しショットも必見です!


PROFILE

0609_01

鬼頭莫宏
1966年8月18日生まれ、愛知県出身。
漫画家、イラストレーターとして、代表作「なるたる」「ぼくらの」などを執筆。「エヴァンゲリオン新劇場版:破」では第3使徒をデザインするなど、活躍中のクリエイター。
『デビルサバイバー2』ではボスとなる侵略者セプテントリオンのデザインを手がける。


【第1回】セプテントリオンが生まれるまで

オーハタ
今私の目の前に、鬼頭さんが描かれた侵略者・セプテントリオンのものすごい量のラフが広がっているんですが…。かなりの枚数がありますね!

0609_02

鬼頭仕事のやりとりが、主に電話やメールだったので、距離的な問題や打ち合わせの回数を埋める意味で、自分が思いついたものをどんどん絵に起こし、投げていきました。

オーハタ
毎日1体ずつ襲ってくる、7体の謎の侵略者…。鬼頭さんはその侵略者デザインを手掛けられましたが、最初はどんな形で、お仕事の依頼を受けたんですか?

鬼頭
最初はまず、アトラスのアートディレクターの古東さんから、「無機質で生き物っぽくない、神の使いのような存在」という説明を受けまして、それがずっと印象に残ってますね。

オーハタ
なるほど。デザインの依頼は、具体的にこんな感じで…と言う風なイメージのお願いなどもあったんですか?

鬼頭
そこは今回、絵とかの具体的なカタチでは、あえて頂いてないんです。というのもアートディレクターの古東さんいわく「アトラスが形に出来ないイメージを、鬼頭さんから頂きたい」という風におっしゃられたんですね。

オーハタ
鬼頭さんだからこそ生み出せるものを、というご依頼の流れだったのですね。最初に絵でイメージを出すと、どうしてもスタートが固まってしまうのでしょうか?

鬼頭
そうですね。ですから発注自体は抽象的で、最低限必要なシナリオや戦略上の設定・仕様だけ教えて頂いて、そこから自分が思い浮かべたものを形にしていきました。

オーハタ
そうだったのですね!発想の時点から鬼頭さんに委ねられたという。

鬼頭
はい。ですので、まずラフを何種類かこちらから出して、そこから取捨選択してもらって、詰めていきました。ただもちろん、決定権をもっているのはアトラスさんなので、僕はその大元となるデザインを提案して、それを一緒にゲームのキャラクターとしてブラッシュアップしていく、という流れで作っていきました。

オーハタ
セプテントリオンはみんなぱっと見、無機質で、とらえどころがない感じで…、でもその中にも、共通したシンプルな美しさ、みたいなものがある気がします。

鬼頭
そういう意味では、デザインって本当に難しい、っていつも思ってるんですけど、今回通して心がけたのは、極力「足し算のデザインにはしない」ってことなんです。

オーハタ
足し算…。デザインを付け足していく、という意味で?

鬼頭
はい。なるべく、足して説明していくのではなく、ムダなものをそぎ落としていくやり方を意識しました。

オーハタ
たしかに、どのセプテントリオンをみても非常に洗練されている、という印象を受けますね。スマートで、無機質で、そこが怖いと言うか。

鬼頭
ただそうは言っても、僕のデザイン的な満足と、ゲームを作る方、遊ぶ方の感覚はバランスがとれてないといけないので、 7体それぞれ、バリエーションやアクセントなどで、誰にとってもかっこいいおもしろいと思える最低限の要素を残したつもりです。

オーハタ
私個人的には、いちばん最初に出てくるこの”ドゥベ”っていうセプテントリオンにすごく惹かれます。怖いようでいて、なんだか美味しそうでもあるという…(笑)。

septem_dolube
<セプテントリオン/日曜の侵略者:ドゥベ>

鬼頭
たしかデザインしたのも、これがいちばん最初でした。「爆発する爆弾。だんだん大きくふくらんでいく」っていう設定で、最初は蓮のようなイメージで描きました。それがいつのまにか、ふくらむイメージのほうが強くなっていって…。

0609_04
<ドゥベのラフイメージ>

オーハタ
ドゥベの登場シーンをゲームでも見たんですが、怖い設定にも関わらず、「この子本当に強いのかな?」と、つい思ってしまうような…。

鬼頭
そうですね。このときどんなことを考えてこうなったか、じつはあんまり覚えてないんですけど、最初に登場する「神の使い」的にすごいはずのキャラが、バカにしてる?ってくらい見た目滑稽なのは、逆にアリなんじゃないか!? と、考えた記憶があります。

オーハタ
たしかに、ゲーム中でもぷくーっと大きくなったりして、結構しぐさ?がかわいいところあるんです(笑)。

鬼頭
そう。でもそれでいて、戦ってみるとどうしようもないくらい強い、っていう…(笑)。

オーハタ
イラスト原画をよく見てみると、色も単純なピンクではなて、結構おどろおどろしいんですね。とらえどころのない恐怖感があるといいますか…。

鬼頭
色や質感は遊園地の乗り物にあってもおかしくなくて、まさかこんなやつにやられることはないな…と思わせつつ、ボコボコに…という風に、まずは遊んでもらえると嬉しいです(笑)。


0609_03

鬼頭さん、ありがとうございました!

お話は第2回のインタビューに続きます。どうぞお楽しみに!